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東洋経済6/11「貨幣供給政策」

週間「東洋経済」6月11日号「経済を見る目」





デフレは「貨幣現象ではない」との論拠に最近の中国特需を挙げ、その為に需給の逼迫が起き価格上昇を齎しているのであり、実体経済の動きこそがデフレ脱却の鍵でありマネーサプライは無関係だ、と断じている。

当然です、国内のマネーサプライに無関係なのは当たり前でしょう(怒)、中国特需は海外要因であり、国内経済要因では無いのです。





「需給の逼迫」は国内に限られた見方です、地球規模で見れば「需要の増加」なのです、其れによって国内への輸入量が減った即ち供給の減少となったに過ぎません、根本要因は国際的な需要の増加なのです。





更に、氏の立論はここだけ見れば中世重商主義者かと見間違えそうな輸出奨励論の様ですが、輸出が増大すれば為替は円高に向い輸出をさせ難く反応します、現在は2003年秋以降の日銀による約50兆円と言われる円売り介入により為替レートを押さえているのです。しかもこの介入は新規発行の通貨を投入されています、詰まり実態的にマネーサプライを増加させているのです、その影響が昨今の回復傾向を齎していると考えられるのです。





先に述べた2003年秋以降の日銀による為替介入に伴う新規通貨の投入が、金額の割りに限定的な影響に過ぎないのは、その方法からして輸出関連企業を対象とした政府による「所得移転」に過ぎないので、乗数効果が殆ど無い為でしょう。新規通貨は潜在需要の有る段階へ投入されてこそ国内経済の隅々にまで乗数を齎し、企業や不動蓄積を持つ者に渡るまでに充分な活性化効果を持つのです。





氏は冒頭で言外に日本中の人々が満足し需要が無くなったかの様に扱っていますが、そうでしょうか、経済的要因による自殺者が万を越し、親の経済的要因による学費負担困難を理由とする退学者も続出している現状を見ると、需要はあっても消費力が無い人々が大量に存在する事になります。この学生達のどこに「機会の平等」が担保されているのでしょう。

構造改革派が3年前に其の政策目的として「結果の平等を壊して、機会の平等を齎す」とのたまわったのは大嘘で有る事の証明です。





「需要の低下」原因は何だったのでしょうか、バブル崩壊による消費者心理の冷え込みでしょうか、此れも有るでしょうが真っ先に来たのは資産バブルの崩壊だったと私は思います。残念ながらこの面から納得できる専門家の研究は私の知る限り為されて居ないようですが、借り入れで買った資産を担保に借り入れして更に買い増す、その自転車操業に金融余力が無くなったのが切っ掛けだったのでは無いかと考えます。詰まり、サプライサイドに偏重した経済運営の弱点が急反転を齎したということです。





更に、価格低下現象は氏の認識しているケースの他にも有ります、すなわち供給が需要に比べて相対的に増加したときも価格低下を引き起こすのです。





「マネーサプライの変化に対する反応度はインフレ・デフレでは非対称である」として貨幣供給政策無効説の補強としてありますが、インフレの時は喫水線を超えているからインフレなのですしたがって通貨量に敏感に反応します、しかし、デフレは喫水線までにどれだけの幅があるかによります、所謂、潜在供給力が何%有り其れに対して新規の通貨を何%供給するか、更には、その通貨をどこに供給するかにも拠ります。





深刻な不況であれば企業は容易に需要が増大するとは期待しないでしょう、そんな企業向けの金融量を幾ら増やしても設備投資の必要性は無く借り入れはしないでしょう、貸してくれと言って来るような所は経営不安に陥って居る所ばかりでしょう、詰まり実質的に通貨量の増大には繋がり難いのです。





ではどこに供給すれば良いのか、潜在需要の有る所はどこでしょうか、長期失業者や父・母子家庭、被生活保護者、申告するも課税対象とならない低所得者などの所には潜在需要が蓄積している筈です。詰まり社会保障費として供給すれば速攻消費の増大として顕れるでしょう、そうなれば企業は生産設備への投資も始めるでしょう。ただし潜在供給力に充分見合うだけの通貨量でなければ効果は少ないでしょう、30%もの潜在供給力があるといわれる現在の日本で10%程度の通貨量増大では効果は限定的と成らざるを得ないでしょう。





尚、金融による消費増大は消費の先取りに過ぎませんから、何れ返済期限が来ればバブル崩壊のような反動が来てしまいますので、本来的なデフレ解消法とは言えないでしょう。



                                                by狂愚男


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