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「貨幣不足」と「構造改革」 ― 1

マクロ経済をコントロール出来るのは「経済制度」を決定する政治なのですが、日本の政界には経済の基本原理を理解している人材がいない様です、日銀にしてもしかりなのです。悪意に取れば、知らない振りをしているのかもしれませんが、そうだとすると「大陰謀説」を説かなければ成りませんから、善意に解釈してここは単に「無知」揃いとしましょう。



共産主義も資本主義も共に共通する経済要素に依存しているのです、お分かりでしょう、そうです「貨幣」です。この貨幣の機能原理を掴まずして経済体制ばかりを論じても無駄であるばかりで無く、弊害すら齎すのです、その好例が今の日本です、「竹・小改革」なのです。



まず、古より連綿と続いた「金本位制」が、20世紀初頭に何故崩壊したのか、其れは産業革命により「物財」の生産は急拡大した、更に人口も有史以来の増大を見て生産量は更に拡大した。所が「貨幣」たる「金」の生産は急増し様も無かった、希少金属なのですから当然です。従って、「物財と貨幣」と言う正比例していなければならない経済要素がアンバランスに成った、生産性の向上により「物財」の供給は拡大しても、希少資源である「金」の供給が伴わず「激しい貨幣不足」(恐慌)が起きて仕舞った其れも数度に渡り、其れでも人類は「貨幣経済」の何たるかを理解できず、遂に世界恐慌を引き起こしてしまったのです。



事ここに至って流石に「金本位制」の欠陥に気付き、兌換紙幣から不換紙幣へ切り替えたのです。この間の事情は「昭和恐慌の研究」に詳しいので参照してください。



さて、日本のバブル期間には「地上げ」に対して各銀行とも競って過大な融資をしました。当時は「土地神話」も生きており「借り入れ」で買った土地を担保に更に「貸す」と言う暴挙も行われました、国内のみならず海外でも同様の方法で「不動産投機」を遣ったのです。



「金融」とはマクロ経済に対して「景気傾向の加速」要因として働きます、好景気であれば貸しても返せる可能性が高くなりますから、嫌が上にも「貸し込み」ます、其れが更に「貨幣の流通」を増やし更なる景気の拡大要因に成る訳です(バブル期)。

逆に、不景気であれば「焦げ付く」事を恐れて「貸さなく」成り、其れが更に「貨幣の流通」を阻害し不景気の深刻化を齎すのです。

一旦、こうなれば「日銀金利がゼロ」でも銀行は怖くて貸せなくなります、企業も不景気では「金利負担」が重く「借金」返済を急ぎ、出来るだけ「出」を減らそうとします、日銀の「量的緩和」策が奏効しなかったのは記憶に新しい所でしょう。こうして「金融」は定常経済への攪乱要因と成るのです。

貸付を銀行決済する場合、多くは実際には貨幣は必要としないのです、口座から口座へ数字が移動するだけです。しかし、此れを返済するとなると、商品を販売して代金を回収する時点で、多くは貨幣を集めます、対象が不特定多数に渉るからです。この様に傾向的に貸付では貨幣は一般市場に出難いのですが、返済では一般市場から貨幣が撤退するのです。



此れには「信用創造(銀行融資)」の、定常経済への攪乱機能を良く知る欧米各国は憤懣遣る方無しで有ったでしょう。対抗策として「自己資本比率」8%確保をグローバル・ルールとして強制しました。(其れまでは日本の銀行の自己資本規制は4%)

この煽りが「バブル崩壊」と時を同じくして、日本経済を「貨幣不足」によるデフレに突き落としたのです。



所が不幸にして日本には「貨幣経済の基本原理」を周知する人材が居なかったのでしょう、金融収縮に拠る「貨幣不足」を放置して仕舞い、「既発行貨幣」だけの「回し方」に狗泥して、「ケインズ」が良いの、「アダム・スミス」が良いの、「市場競争」だの「構造改革」だのとまるで頓珍漢な論争・政策に終始したのです。その間にも、経済的困窮を理由とする国民の自殺激増、職を失う事による社会負担の激増、等の経済社会不安と国庫負担の増大を放置する事となり、引いては企業減税、高額所得者減税なども有って生活者負担を激増させて居るのです、今後も更なる負担増が待っているでしょう。



因みに「貨幣不足」による不況下の「構造改革」とは、現代の「間引き」政策そのものなのです。人権尊重を謳う現代国家に於ては、実に恥ずべき「同朋の死体の上での宴」とも言えるのです。一国の政府が恣意的に「自国民を間引き」しているのが、日本の小泉政権と言うことです。



                                   by狂愚男


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