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日本を「貧困大国」にさせないための処方箋-東洋経済新聞

これは即実行すべき政策ですが・・・安倍自民では間違っても遣らないでしょう、この逆の政策なら遣りそうですが!。
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東洋経済オンライン編集部

2016年05月06日




日本を「貧困大国」にさせないための処方箋
(教育、雇用、住宅の自助努力はもう限界だ)


「働けばなんとかなる」――その思い込みだけで突っ走り、セーフティーネットをおろそかにしたツケが再び押し寄せている。失業保険は不十分なまま、職業訓練や資格所得のメニューも貧弱、再就職先はブラック企業、支援する側が非正規雇用で、大手企業すら「求人詐欺」で搾取するだけ……。

企業と労働者の関係が悪化するなか、再興の道はあるのか?「『働いても幸せになれない日本』に生きる若者」(5月1日配信)に続き、後編として、暗くなるばかりの気持ちを振り切り、今できる対策を探る。


「世代間対立している場合じゃない。親子で共闘せよ」

今野晴貴(以下、今野):悲惨な話ばかりをしていても救いがないので、求人詐欺や貧困に対して、具体的な処方箋を考えてみましょう。

まず求人詐欺については、予防策として、求人票のリテラシーを身に付けることが大切なのは言うまでもありません。でも、求人詐欺の手口はどんどん巧妙になってきているのも事実なんですよ。

藤田孝典(以下、藤田):不幸にも被害に遭ってしまったら、どういう対処の仕方があるのですか。

今野:たとえば求人の内容と契約書の内容が違っていたら、後から未払い分の給与を請求することができます。時効になるまでは2年間あるので、原理的には2年前までさかのぼって「詐欺で騙された」分の賃金の請求が可能なのです。

請求を確実にするためには、とにかく就職活動中、あるいは転職活動中から会社とのやりとりはすべて記録しておくことが大切です。そして入社後は、自分の出社時間や退社時間の記録やメモですね。それらの「証拠」があれば、騙されたとしても被害を回復できる可能性が高まります。

ここで声を大にして強調しておきたいのは、年配の人もこの事実を知って、息子や娘、孫に対して積極的に助言してほしいということです。
藤田:騙されても、証拠があれば取り戻せる、と。


「家族を守るために家族が一丸となって立ち向かう」

今野:そう。だってそれができるかどうかに、家族の運命がかかっているんですよ。2年間の差額請求って、何百万円というものすごい額になります。それだけあれば、新しい資格を取るための元手にもなるし、当座の生活資金にもなる。

うつ病になったとしても、治療代に充てられる。労働災害が認められれば、そもそも治療費は全額無料になります。お父さんの助言で、子どもが差額の賃金を取り戻せたら、「お父さん、ありがとう」と感謝されて、もしかすると逆に援助してもらえるかもしれません。子供が鬱になって何年も引きこもって面倒を見なければならない事態を考えれば、天と地ほどの差でしょう。

詐欺企業からおカネを取り戻すノウハウはすべて、『求人詐欺』(幻冬舎)という本で具体的に書きました。家族を守るために、ぜひ活用してほしいと思っています。ブラック企業や詐欺企業に対し、家族が一丸となって立ち向かう。とても合理的なシナリオです。

藤田:実際、それができないから、息子や娘の面倒を見ることになり、家族全体が沈没するケースが後を絶たないんです。私のNPOに相談にくる人も、家族での相談が多くなっています。親御さん夫婦と、30代、40代の息子さん、娘さんですね。子供が引きこもったり、うつ病になったりしているんだけど、親の年金だけでは生活していけない。

今野:その場合、どういう選択肢がありえますか。

藤田:家族が共倒れにならないためには、世帯分離をして、子供には生活保護を受給してもらうなり、生活困窮者の支援を受けてもらうなりという選択がいいんじゃないでしょうか。ただ、それができても支援メニューは脆弱だし、職業訓練の制度も十分じゃない。だから、生活保護をずっと受けるようなことになりがちです。

しかも、若くして生活保護に入ると、「あんなに若いのに、なぜ生活保護に入るんだ」と周囲から非難されてしまうわけで、もう八方塞がりなんですよ。その意味で、今野さんの『求人詐欺』を読んで、差額の賃金を取り戻せるかどうかで、家族の将来は大きく変わってくるでしょうね。

今野:日本の社会保障制度が脆弱であることを前提にするなら、まずは「戦略的」に生き抜くことが大事になります。そのときに、世代間対立なんてしている場合じゃない。子供がブラック企業で使い捨てにされたら、そのツケは親世代にまわってくるわけじゃないですか。「若者は甘い」なんて、言っている場合じゃない。少なくとも、「家族」に関しては、そんなことを言っていても自分の首を絞めるだけです。

だったら、親世代は自分の生活を防衛するためにも、息子、娘と共闘して、賃金を取り戻してほしい。それができなかった場合は、共倒れにならないために、世帯を分離して、必要な社会保障を受けてもらう。「親だから、全部面倒見なければ」と考えてはいけないんですね。


「住宅は最大の福祉制度」

住宅は最大の福祉制度なのに、それが日本では全然理解されていない

藤田:社会保障の制度でいえば、とにかく住宅政策を拡充することは待ったなしだと思います。住宅は最大の福祉制度なのに、それが日本では全然理解されていない。

だから、低年金、低所得の人でも暮らせるような住宅がまったく不足しているんです。空き家を活用して公営住宅を増やすとか、低所得者向けに家を貸す大家さんや企業に税制優遇するとか、公的な家賃補助制度を入れるとか、中間層や貧困層の可処分所得を上げていくには住宅政策が急務です。

今野:保育園も大事だけど、それ以上に住宅が大事だというのが、藤田さんの持論ですね。

藤田:たとえばフランスがいいモデルです。フランスは、住宅政策のおかげで出生率が上がった。考えれば当然で、支出の大きな割合を占める家賃が下がれば、その分ゆとりができますから、結婚や出産もしやすくなる。日本の少子化対策というと、保育園の増設や長時間労働の是正という話になることが多いんですが、少し誇張していえば、ヨーロッパでも成果が出ているとおり、住宅政策だけでも十分少子化対策になりうるんです。

今野:おカネということでいえば、教育費もなんとかしないとダメでしょう。東大生の親の年収が1000万円以上というのは恐ろしいことですよ。貧困の実態や劣悪な雇用の現場を知らないで育った人間が、将来の為政者になっていくということだからね。

藤田:すでにそうなっていますよ。東大生や京大生のゼミで議論しても、貧困や格差のことをまったく理解していません。国家公務員の研修も同様で、彼らは、日本社会でなぜ働けない人たち、努力したくでもできない人たちが増えているのかをほとんどわかっていないのです。

今野:富裕層はお受験するから、小学校の段階で分断されるんですよ。だから、貧困な友人もいないでしょうし、ヤンキーに殴られるような経験もしてない。だから、多様な立場の人間が社会にいることも、想像することが難しくなってしまうと思います。

藤田:貧困層の子供と一緒に遊んだり、ケンカしたりする経験がまったくないんですよね。だから貧困がどれだけ辛いことなのかを想像することさえできずに、社会人になってしまうんです。


「大幅なメスが必要なのは、大学の学費と奨学金」

今野:本来はいろんな階層の人間が入れるはずの国立大学だって、いまやおカネがないと入れなくなってしまいました。

藤田:著書の『貧困世代』(講談社現代新書)にも書きましたけど、この50年ぐらいで学費ほど値上がりしているものはないんですよ。国立大学の授業料にしたって、1969年と比べて、44~45倍になっている。消費者物価は3倍しか上がってないのに。

だから今の学生は、ブラックバイトや奨学金に頼らざるをえない。でも日本の奨学金は、返済の必要のない「給付型」ではなくて、就職した後に返済する「貸与型」です。もう大学生の時から、借金を背負ってしまうわけですよ。

今野:国は「グローバル競争に生き残れ」と威勢よく言うけれど、その出発点で借金漬けにしてどうするんですか、と。

藤田:借金だるまになっている学生は、誰でも一度は公務員を志望するんです。安定志向というか失業しなくて済むような雇用ですね。そりゃ卒業するときに借金抱えていたら、チャレンジなんてできませんよ。ましてや民間企業は不安定な雇用が蔓延していますから。

北欧諸国は、心が優しいから学費を無償にしているわけじゃないんです。おカネの心配せずに高等教育を受けられれば、憂いなく新しい研究も取り組める。そういう学生がイノベーションを起こせば、国の生産性も高まる。そこまで考えて、学費を無償にしているんです。

今野:それなのに、日本は、これからもっと学費を上げると言ってるわけでしょう。そうなれば、地方の子どもはなおさら都心の大学に行かなくなりますよ。本当だったら東大、京大へ行ってiPS細胞を発見するような人間が、自分の家の近くの公立大学に行って、地方の公務員に落ち着いてしまうんです。

そうならないように、ある一定の大学は、学費を無料にするとか、低収入の世帯の学生には生活費を補助するとか、勉強したい子がおカネの心配をせずに勉強できる環境を作らなければ、「エリート」の再生産すら出来ません。


「手に職があるかないかで、その後の選択肢が全然違う」

藤田:大学改革もずっと議論されていることだけど、貧困の現場、雇用劣化の現場を見ている側からいえば、職業訓練的な大学や学校をもっと整備していくべきです。手に職があるかないかで、その後の選択肢が全然違ってきますから。

今野:その場合、劣悪な職業訓練にならないようにしないといけない。ともすれば、現在の失業者向けの職業訓練みたいに、貧困ビジネス化しかねないですからね。やっぱり「権利としての職業訓練」、手に職をつける権利が国民に保障されていると考えて改革していかないと。そうした意味では、エリートの奨学制度だけでは全然だめで(それすらやっていないのは本当に異常なのですが)、手に職をつけるための全般的な教育保障が必要です。

藤田:介護や福祉のように、人手不足の分野はわかっているんです。だったら、単に資格を取らせるだけじゃなくて、その後の雇用も安定するように国が手当てをすることも必要でしょうね。

今野:今は、教育、雇用、住宅のいずれも自助努力でしょう。それで経済成長や少子化対策なんてできるはずがない。日本を貧困大国にしたくなければ、国家が保障しなければいけない領域をもっと広げていかなければいけないんです。


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